犬と鹿の動きをたどり、風景の中の狩りの順序を読む。
何が描かれているか
広い風景の中に、鹿を追う犬、馬に乗る人、狩りに加わる人々が描かれる。奥には建物や木々があり、手前では鹿を取り囲む場面へと動きが集まる。狩猟の一瞬だけでなく、複数の出来事が入っている。
左上から時計回りに犬の動きをたどると、鹿を追う流れが左下の場面へつながる。画面を順に見ることで、広い場所で進む狩りを、一つの物語として読むことができる。
作品の見どころ
木や草、動物の身体は、細かな線の集まりで区別されている。白い紙を残す部分と黒い線を重ねる部分の差が、色を使わなくても地形や奥行きを感じさせる。
これは木の版を彫り、インクをつけて紙へ刷る木版画だ。所蔵館によれば二つの版木で構成される。絵画のように筆で一枚だけ描く仕事との違いも見どころになる。
制作背景
1506年はクラーナハがザクセンの宮廷で働いていた時期。所蔵館は、画家が注文主フリードリヒ賢明公の狩猟に素描帳を持って同行したことを、この作品の背景として説明する。
掲載はメトロポリタン美術館の所蔵刷り。黒い線が多数の人と動物を結ぶ様子を追うと、宗教画や肖像だけでなく、宮廷の活動を広い風景へ組み立てた版画家としての仕事が見える。
資料の留保
刷りの状態は所蔵館の「第2状態」を採用。遠景の館はロッハウ城と推定されるが確定していないため、本文では名称を断定しない。寸法表示に他資料と差があるため未採用。
作品情報
位置づけ
宮廷の狩猟と、木版画で広い風景を語る仕事を見る。
出典・画像について
画像:Lucas Cranach the Elder《鹿狩り(木版画)》/鹿狩り(木版画) — Lucas Cranach the Elder / The Metropolitan Museum of Art
Metの全紙画像、CC0。
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この画家について本で読む
ドイツ・ルネサンスの挑戦 デューラーとクラーナハ
田辺 幹之助 監修・著/新藤 淳・岩谷 秋美 著 / 東京美術
デューラーとクラーナハを軸に、宗教改革や宮廷文化と結びついたドイツ・ルネサンスの表現をたどる一冊です。
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