何が描かれているか
裸身のヴィーナスが片脚に重心を置いて立ち、薄い布を手で持ち上げる。幼いクピドは女神の脚に抱きつき、見上げるように身体を反らす。
二人は暗い背景の前に置かれ、円形の画面へ収まる。弓矢や翼が目立たないため、神話の人物でありながら、母子のような親密さも感じられる。
作品の見どころ
手のひらほどの円の中で、細長い身体と幼いクピドの動きを組み合わせる。小ささが、祭壇や大広間よりも個人的に手元で見る作品らしい近さを作る。
ヴィーナスの身体は縦に伸び、クピドの斜めの姿が足元へ動きを加える。暗い背景と薄い布が輪郭を際立たせ、わずかな身振りを読みやすくする。
制作背景
メトロポリタン美術館は1525〜1527年頃、直径約12.1センチの木の板に油彩として所蔵する。クラーナハの《ヴィーナスとクピド》で、円形の作例はこれだけと説明している。
美術館は、この大きさと形式から個人の書斎のような小空間で見られた可能性を挙げる。確定した設置場所は分からないため、私的鑑賞という見方は可能性として保つ。