ドン・キホーテと死んだラバ
画家 オノレ・ドーミエ →Don Quixote and the Dead Mule / メトロポリタン美術館
茶褐色の荒れた土地の手前にラバが倒れ、遠くの高い場所には騎士と従者らしい人影が小さく見える。
何が描かれているか
茶褐色の荒れた土地の手前にラバが倒れ、遠くの高い場所には騎士と従者らしい人影が小さく見える。題名のドン・キホーテはセルバンテスの小説の主人公で、サンチョと旅を続ける。ドーミエは物語の細部を説明するより、倒れた動物と遠い人物の隔たりを画面の中心にした。暗い土地が広く、人は風景に飲み込まれそうだ。
作品の見どころ
岩場と空の境目はぼかされ、人物やラバも細い輪郭で区切られていない。暗い色の中から倒れた体を探し、次に遠景の人影へ目を移すと、旅の途中で起きたことを想像したくなる。光の当たり方と筆の跡が場所の荒さを伝える。小説の一場面を順に読む挿絵ではなく、主な形だけを残して物語の気分を作る油彩画として見たい。
制作背景
メトロポリタン美術館は1864年以降に板へ描かれた作品として登録する。ドーミエはドン・キホーテを何度も扱ったため、同じ主人公が出る別作品と取り違えないよう副題と所蔵先を確かめる必要がある。政治や都市生活を描いた作品とは違う題材だが、わずかな身振りと大きな明暗で人物を示す手法はつながっている。文学の知識がなくても、画面の距離感から出来事の余韻を感じられる。
出典・画像について
画像:Honoré Daumier《ドン・キホーテと死んだラバ》/The Metropolitan Museum of Art / Open Access
公開機関のOpen Access / CC0表示に基づく。
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