何が描かれているか
高い椅子に腰掛けた巨人の口へ、長い階段を伝って小さな人々が硬貨を運び込む。腹の下では役人たちが書類を受け取り、右側には報酬を得た人々が列をなす。巨人は当時のフランス国王ルイ=フィリップを指す。人物の体を街全体ほど大きくして、権力と民衆の距離を一目で分かる形にした。
作品の見どころ
階段の下から上へ目を動かすと、お金の流れそのものが物語になっている。ふくれた胴と小さな目、人物の細さの対比は、単なる似顔絵以上に仕組みへの批判を伝える。題名は巨人が登場するラブレーの物語に由来し、その途方もない食欲を政治に重ねる。石版に描いた絵を刷るリトグラフのため、同じ図像を多数の読者へ届けられた。
制作背景
1831年に発表されたこの版画は、ドーミエの政治風刺を代表する初期作である。王権をあからさまに嘲ったため、画家は翌年に投獄された。画面の細部は当時の税と利益配分をめぐる批判として読めるが、一人ひとりの人物を実在の誰かと断定する必要はない。遠くからは巨人の形、近くでは硬貨や紙の動きを追うと、風刺の仕組みが見えてくる。