写真を芸術の高みへ引き上げるナダール
画家 オノレ・ドーミエ →Nadar Elevating Photography to the Heights of Art / シカゴ美術館
気球が空に浮かび、籠に乗ったナダールが地上へカメラを向ける。
何が描かれているか
気球が空に浮かび、籠に乗ったナダールが地上へカメラを向ける。下には建物が小さく並び、人と空の距離が大げさに開く。ナダールは実在の写真家で、気球から撮影を試みたことでも知られる。題名は「写真を芸術の高みへ引き上げる」といい、空へ上がる行為と芸術上の評価を一つの冗談に重ねた。
作品の見どころ
画面上部の気球へ目が引かれる一方、地上の町は線の集まりに縮む。この落差によって、写真家の新しい技術への意欲と、それを面白がる同時代人の視線が同時に見える。ナダールの大きな帽子や身振りは本人を知る読者への合図でもあった。嘲笑だけで片づけず、新しい媒体が美術とどう結びつくかをめぐる会話として読むこともできる。
制作背景
シカゴ美術館は1862年のリトグラフとして登録する。ドーミエの活動期には写真が急速に広まり、絵や版画と同じ都市の視覚文化に入ってきた。空撮は写真の新しい試みだったが、この絵が実際の飛行の一瞬を正確に記録したわけではない。実在の写真家を題材に、言葉遊びと大胆な構図を結びつけた風刺である。
出典・画像について
画像:Honoré Daumier《写真を芸術の高みへ引き上げるナダール》/Art Institute of Chicago / Open Access
公開機関のOpen Access / CC0表示に基づく。
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