哀れなフランス――幹は折れても根は残る
画家 オノレ・ドーミエ →Poor France! The trunk is blasted, but the roots hold! / メトロポリタン美術館
画面には幹の折れた一本の木が立ち、残った枝が風に押されるように横へ伸びる。
何が描かれているか
画面には幹の折れた一本の木が立ち、残った枝が風に押されるように横へ伸びる。人の姿は描かれていない。題名は「哀れなフランス――幹は折れても根は残る」といい、傷ついた木を国の姿にたとえる。上部が失われても地中へ続く根があることを示し、敗北の痛みと生き延びる希望を同じ木に託した。
作品の見どころ
白黒の濃淡が空と地面を分け、明るいところに傷ついた幹が浮かぶ。曲がった枝を目で追うと折れた部分へ戻り、さらに地面へ視線が下りていく。題名を知らずに見ると荒れた風景に見えるが、言葉と合わせると木の形が政治的な意味を持つ。初期の国王を笑う版画とは異なり、人物の誇張なしで国の苦しさを表した作品だ。
制作背景
メトロポリタン美術館は1871年刊『包囲のアルバム』に収められたリトグラフとして登録する。普仏戦争とパリ包囲を経た時期の画像で、折れた幹はその傷を暗示する。ただし特定の戦闘を正確に記録した風景ではない。木だけを大きく描くことで、読む人が当時のフランスの状態を重ねられる。題名の最後に残る「根」が、この悲しい画面を絶望だけで終わらせない。
出典・画像について
画像:Honoré Daumier《哀れなフランス――幹は折れても根は残る》/The Metropolitan Museum of Art / Open Access
公開機関のOpen Access / CC0表示に基づく。
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