帽子をかぶった男性が、壁や床に並べられた作品を立ったまま眺めている。
何が描かれているか
帽子をかぶった男性が、壁や床に並べられた作品を立ったまま眺めている。手には何も大きく掲げず、目の前の絵を静かに見比べる姿だ。壁には額が並び、床の手前にも画面をこちらへ向けた作品が置かれる。大きな事件や名高い人物を描かず、美術作品を見るという日常の行為を油彩画の主題にした。
作品の見どころ
男性の暗い上着は奥の壁に溶け込み、顔と明るい作品群が視線を引く。床の絵から壁の額へ目を動かすと、彼が何を選ぶか考えているようにも見える。しかし、この人物を実在の収集家と断定する証拠は示されない。ドーミエ自身が版画を作る側だったことを思うと、作品を見る人を画家が描いたという関係も面白い。顔の表情より、立つ姿勢と周囲の絵が行為を語る。
制作背景
シカゴ美術館は1860年頃の板に描かれた油彩作品として登録する。ドーミエは新聞向けの版画を大量に制作した一方、油彩では人物と光を時間をかけて見つめた。ここでは収集家を嘲笑する決定的な身振りより、美術に囲まれた室内の静けさが前面に出る。暗い室内に浮かぶ四角い絵を一つずつたどると、見る人も画中の収集家と同じように作品を選ぶことになる。
出典・画像について
画像:Honoré Daumier《版画の収集家》/Art Institute of Chicago / Open Access
公開機関のOpen Access / CC0表示に基づく。
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