帽子をかぶった細身の男が杖を持ち、片脚を踏み出す。
何が描かれているか
帽子をかぶった細身の男が杖を持ち、片脚を踏み出す。長い上着は背中へなびき、顔には作り笑いにも見える表情が浮かぶ。ラタポワルは実在の肖像ではなく、ルイ=ナポレオンの支持者を風刺するために生み出された架空の人物である。紙に刷る似顔絵で知られるドーミエが、手で回り込んで見られる立体にも同じ鋭さを持ち込んだ。
作品の見どころ
小さな体を横から見ると、足、杖、帽子の向きがばらばらに動き、今にも歩き出しそうだ。正面の顔だけでなく、曲がった背や伸びた腕が人物の性格を語る。服の表面には手で形を押したような起伏が残り、整った記念像とは違う生々しさがある。風刺は顔の誇張だけではなく、全身の姿勢にも宿ると分かる。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは原型を1851年、現在のブロンズ鋳造を1891年頃と区別する。したがって、この展示品そのものを1851年に鋳造したとは書けない。原型の粘土像は残っておらず、後年の鋳造を通じて立体作品が伝わる。政治的人物像を戯画化した表現として、版画とあわせて見るとドーミエの活動の広さが見えてくる。
出典・画像について
画像:Honoré Daumier《ラタポワル》/Wikimedia Commons / Open Access
公開機関のOpen Access / CC0表示に基づく。
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