何が描かれているか
たくましい女性が高い場所に腰掛け、胸元に子どもたちを抱く。女性は特定の母親ではなく、フランス共和国を人の姿にした寓意である。子どもを育てる姿に、新しい政治体制が市民を養い支えるという願いが重ねられた。ドーミエの版画で見慣れた細い輪郭の笑いとは違い、大きな体と落ち着いた姿勢が画面を占める。
作品の見どころ
女性の体は細部まで磨き上げられず、筆の動きと明暗で大まかな量感が作られる。周りの子どもたちに目を移すと、力強い中心像が小さな体を守るような構図と分かる。政治を風刺する画家が、政治的な理想を象徴として描いた点が面白い。同じ人物でも、版画の王や議員とはまったく異なる敬意を込めた姿である。
制作背景
オルセー美術館は1848年の共和国像を募る公募に関わる油彩習作として登録する。二月革命で王政が倒れた直後、共和国の姿をどう表すかは現実の課題だった。作品を完成した国家の記念碑とみなすより、変化の時期に画家が示した構想として見るとよい。現在の所蔵記録はRF 1644である。