法廷で黒い服の男が腕を高く上げ、席に着いた裁判官へ向けて話す。
何が描かれているか
法廷で黒い服の男が腕を高く上げ、席に着いた裁判官へ向けて話す。周囲には傍聴する人や仕事を待つ人が集まる。題名のロベール・マケールは、ドーミエが繰り返し描いた架空の詐欺師で、この一枚では弁護士に扮している。法の専門家らしい身なりと大げさな弁論を重ね、弁護士という役柄そのものを笑いの対象にした。
作品の見どころ
手を上げた人物から、表情を変えずに座る裁判官たちへ視線を移すと、法廷の力関係が見えてくる。手彩色は服や席に色を加えるが、話を動かすのは誇張された腕と顔の向きだ。画面下の観客もこの芝居の目撃者になっている。細かな台詞を読み取れなくても、声の大きさが聞こえそうな姿勢から、もっともらしさへの皮肉が伝わる。
制作背景
クリーブランド美術館によると、1837年4月23日の新聞『ル・シャリヴァリ』に、連作「カリカチュラーナ」の第44図として掲載された。政治家個人を攻撃した初期作とは違い、都市の職業や商売が風刺の題材になる。架空の主人公を何度も登場させることで、読者は性格を知ったうえで新しい役柄を楽しめた。法廷の場面も、同時代の社会を映す一つの芝居である。
出典・画像について
画像:Honoré Daumier《弁護士ロベール・マケール》/Cleveland Museum of Art / Open Access
公開機関のOpen Access / CC0表示に基づく。
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