中世風の衣装を着た人物が、楽器を手に暗い背景の前へ現れる。
何が描かれているか
中世風の衣装を着た人物が、楽器を手に暗い背景の前へ現れる。吟遊詩人とは歌や物語を伝えながら旅をする人のことだ。ドーミエがよく描いた議員や町の労働者とは時代も場所も違う題材だが、人物の体を大きく捉えるまなざしは共通する。衣装の細部より、立つ姿と楽器を持つ手が印象に残る。
作品の見どころ
青灰色の空と緑のある背景に対し、人物の白っぽい服と顔が浮かび上がる。輪郭を硬く区切らず、太い筆づかいで体の重みを作っている。楽器に触れる手と見上げる顔をたどると、音を奏でている途中の一瞬に見える。中世を正確に再現した記録として見るより、古い時代を想像し、現代の人物と同じ力強さで描いた絵として味わいたい。
制作背景
クリーブランド美術館は1868~73年の油彩画とし、18世紀の画家ヴァトーによる吟遊詩人の絵にもドーミエが関心を寄せたと説明する。19世紀のフランスでは中世への関心が広がり、この主題も好まれた。制作年を一点に決めず、晩年の作品群に置いて紹介する。政治風刺だけでは捉えられない、画家の絵画への興味を示す一枚である。
出典・画像について
画像:Honoré Daumier《吟遊詩人》/Cleveland Museum of Art / Open Access
公開機関のOpen Access / CC0表示に基づく。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
オノレ・ドーミエ(パルコ美術新書)
ユルク・アルブレヒト 著/小谷民菜 訳 / パルコ出版
政治風刺、都市の人々、晩年までの活動をたどる日本語の入門書。出版年が古いため、購入時は商品ページの在庫を確認してください。
楽天ブックスで見る →