何が描かれているか
大きな寝台に二人の若い人物が横たわっている。右のプシュケは目を閉じ、左のキューピッドは上体を起こして、こちらへ顔を向ける。眠る顔と目を開いた顔が、隣り合って見える場面だ。
寝台の周囲には白い寝具と赤い布が重なり、左の人物の背後には翼が見える。奥の開口部からは明るい空と山がのぞく。二人の体は近くにあるが、その先には小さな遠景も描かれている。
作品の見どころ
最初は二人の顔の違いを比べてみたい。プシュケの横顔は静かで、キューピッドは口元を緩めている。理想的な恋人同士という印象だけでなく、片方が目覚めている瞬間のずれが目につく。
布の赤と肌の淡い色の対比も見どころだ。寝台の装飾から人物へ戻ると、硬い枠の中に柔らかな体や寝具が収まっていることが分かる。小さな蝶も探してみたい。
制作背景
クリーヴランド美術館は1817年の油彩画と記録し、署名にはブリュッセルの地名もある。題材は、愛の神キューピッドと人間の娘プシュケの神話。館の解説は、二匹の蝶にも触れている。
所蔵館は、キューピッドを整った理想像というより、ぎこちない若者として描いた点を指摘する。古代の神話であっても、登場人物の表情や体つきまで一様に立派にされているわけではない。