何が描かれているか
将軍が黒に近い濃紺の軍服を着て、正面を向いて立っている。胸には勲章、肩には金色の飾りがあり、片手には紙を持つ。腰には剣が見え、もう一方の手は腰の近くに置かれている。
背後には大きな赤い幕が掛かり、横の欄干の向こうに山や空が広がる。足元の床には幾何学的な模様がある。全身を縦に長く収めつつ、背景にも手前と奥の違いが作られている。
作品の見どころ
まず顔から胸の勲章へ、次に手の紙へと目を動かしてみたい。暗い服の中で金色と白が目立ち、姿勢の固さだけではなく、人物を示す持ち物や装飾にも注意が向く。
赤い幕の斜めの流れと、まっすぐ立つ将軍の形を比べるのも見どころだ。背景の大きな布は動いて見えるが、人物の体は落ち着いている。周囲の形との違いが、立ち姿をはっきりさせている。
制作背景
メトロポリタン美術館は1816年の作品と記録する。モデルは革命期とナポレオン時代に軍の指揮を執ったジェラール。画家は1815年のワーテルローの戦いの後、ブリュッセルへ亡命した。
所蔵館は、これを亡命後に描いた帝政期の人物の肖像の初期の例として紹介している。歴史上の大事件を描くダヴィッドとは別に、一人の人物を全身と周囲の空間で見せる仕事も確かめたい。