1801年
50代初め

サン=ベルナール峠を越えるナポレオン

画家 ジャック=ルイ・ダヴィッド
Napoleon at the Great St. Bernard Pass / ベルヴェデーレ宮殿美術館
荒れる馬、風を受ける赤い外套、頂上を指すナポレオン。実際の峠越えをそのまま写したのではなく、歴史上の指導者として記憶させる英雄像だ。

何が描かれているか

赤い外套のナポレオンが後ろ脚で立つ白馬にまたがり、山の上を指す。風と馬は激しく動くが、本人の顔は落ち着いている。
岩にはボナパルト、ハンニバル、カール大帝の名が刻まれる。アルプスを越えた過去の指導者と、ナポレオンを同じ歴史へ並べる仕掛けだ。馬のたてがみ、外套、雲が同じ方向へなびき、静かな顔の周囲だけが激しく動く。

作品の見どころ

馬の斜めの身体、外套の大きな赤、指先の方向を一続きに追おう。画面全体が左下から右上へ上昇する。
実際のナポレオンはラバで峠を越えたとされる。絵は旅行の正確な記録ではなく、困難を導く英雄として見せるための肖像である。岩の名を読んだ後で指先へ戻ると、過去の英雄とこれから進む方向が構図こうずの中で結ばれる。

制作背景

同主題には複数の版があり、ここではベルヴェデーレ宮殿美術館所蔵の1801年作を掲載する。似た画像でも馬や外套の色が異なる版がある。
ナポレオン本人が長時間ポーズを取った写生ではない。歴史上の指導者としての印象を、衣装、馬、碑文で組み立てている。複数版の存在は単なる複製ふくせいではなく、色や細部の違いを比べるための重要な前提になる。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ベルヴェデーレ宮殿美術館

出典・画像について

画像:Jacques-Louis Davidサン=ベルナール峠を越えるナポレオン》/サン=ベルナール峠を越えるナポレオン — Jacques-Louis David / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-11 確認)
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