1812年
60代前半

書斎のナポレオン一世

画家 ジャック=ルイ・ダヴィッド
The Emperor Napoleon in His Study at the Tuileries / ワシントン・ナショナル・ギャラリー
午前4時13分の時計、燃え尽きたろうそく、乱れた服。皇帝を戦場ではなく、夜通し法律に取り組む統治者として作り上げた肖像だ。

何が描かれているか

ナポレオンは軍服姿で書斎に立ち、右手を上着へ入れる。時計は午前4時13分、机には燃え尽きかけたろうそく、椅子には法典を示す書類がある。
一つひとつの小道具は、夜通し働いた軍人、皇帝、立法者という複数の役割を一人に集める。実際のある朝を写した場面ではない。机と椅子が人物を左右から挟み、立ったままの姿を夜通し続いた仕事の中心に置く。

作品の見どころ

乱れた髪、開いたそで口、しわのある靴下に注目しよう。公式の制服を着ながら、疲れを示す細部が勤勉さの証拠として使われる。
時計、ろうそく、書類を順に読むと時間の物語が生まれる。写実的に描かれていても、所蔵館が説明する通り、政治的な神話を作る肖像である。整った軍服と乱れた細部を行き来して見ると、権力者の威厳と勤勉な働き手という二つの像が重なる。

制作背景

1812年、スコットランドの貴族アレグザンダー・ハミルトンの注文で制作された。ナポレオン本人はおそらくポーズを取っていない。
現在はワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵。実在感の強さと、構成された宣伝的イメージが同時にある点が重要である。時計や法典は目に見える物だが、それらが示す性格は意図的に構成された表現として区別したい。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
目録番号
1961.9.15

出典・画像について

画像:Jacques-Louis David書斎のナポレオン一世》/書斎のナポレオン一世 — Jacques-Louis David / Wikimedia Commons
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-09-11 確認)
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