何が描かれているか
中央のヘルシリアが両腕を広げ、夫ロムルスと父タティウスの間へ入る。ほかの女性たちも子どもを掲げ、兵士たちへ戦いを止めるよう訴える。
ローマ人に連れ去られたサビニの女性たちが、年月を経てできた夫と父の双方を失わないため、争いを仲裁する物語である。ヘルシリアの開いた両腕が左右の武器を分け、その足元に子どもたちが集まっている。
作品の見どころ
左右から向かう槍と剣に対し、中央の白い服が横へ広がる。武器の交差を、女性の身体が止める形になっている。
裸体の英雄だけでなく、地面に伏す女性や高く掲げられた子どもを追おう。同じ戦場に、戦う目的とは異なる家族の時間が見えてくる。中央の白から左右の赤や金へ目を移すと、停止を求める人物が色でも戦士から区別される。
制作背景
1799年に完成し、ダヴィッド自身が有料で公開した。国家の注文だけに頼らず、作品を見るための入場料を得る展示だった。
恐怖政治後に制作されたが、特定の政治的和解を一対一で表すと断定はできない。古代物語と当時の社会状況を分けて考える。有料展示という公開方法と作品の内容を押さえつつ、特定の政治的主張だけに意味を固定しない。