1878年頃
43〜44歳頃

手袋をした歌手

画家 エドガー・ドガ →
Singer with a Glove / ハーヴァード美術館/フォッグ美術館
歌う口と上げた手に、舞台の光が集まる。

何が描かれているか

女性が大きく口を開き、長い手袋をした手を上げて歌っている。顔は少し上向きで、顎や鼻の下、腕には明るい光が当たる。飲食しながら舞台を楽しむ「カフェ・コンセール」の歌手を描いた作品である。衣装は淡い桃色、背景にはクリーム色や暖かい色の縦の帯が並び、舞台の装飾を思わせる。

作品の見どころ

下から当たる光が、顔の輪郭りんかくと喉のどを強く浮かび上がらせる。上向く顔と掲げた手の間を目でたどると、声を張る時の体の動きが伝わる。背景のまっすぐな縦線に対して、腕や胸元の曲線が揺れるように見える点も面白い。人物は中央から少しずれた位置にあり、正面で静かにポーズを取る肖像とは異なる舞台の瞬間を感じさせる。

制作背景

1878年頃の作品で、カンヴァスにパステルを用いている。パステルは顔料がんりょうを棒状に固めた画材で、色を直接置き、線や明るい部分を重ねられる。ドガが描いた舞台には踊り子だけでなく、こうした歌手も含まれる。実在の有名歌手と結びつける説を確定せず、ここでは所蔵館の《手袋をした歌手》という記録に従って紹介する。

作品情報

材質・技法
パステル、カンヴァス
所蔵
ハーヴァード美術館/フォッグ美術館
目録番号
1951.68

出典・画像について

画像:エドガー・ドガ《手袋をした歌手》/Edgar Degas / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示を確認した平面作品の複製。全景を保ちWebPへ縮小。国・地域によって扱いが異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

もっと知りたいドガ
三浦 篤 著 / 東京美術
踊り子や競馬、都市生活の一瞬を捉えながら、新しい現実表現を追い続けたドガの生涯と作品を紹介する入門書です。
楽天ブックスで見る →