何が描かれているか
赤褐色の地面と暗い斜面、その上に淡い空が広がる。遠くの形は細部まで描き分けられず、柔らかな色の帯として見える。この作品は版に色の絵の具で描いた像を紙へ写す「モノタイプ」に、パステルを加えたもの。主に一枚の像を得る版画の方法と、紙の上に直接描く方法を組み合わせている。
作品の見どころ
地面と空の境目や、暗い色がにじむ部分を見てみよう。輪郭がはっきりしないため、遠い景色を記憶の中でたどるような印象になる。人物の姿勢を鋭く描くドガとは違い、ここでは広い色と曖昧な形が目を引く。細部を探すより、暖かい色と冷たい色、明るい面と暗い面のまとまりを比べると、風景の広がりを感じ取りやすい。
制作背景
1892年の作品。シリーズは1890年秋、画家ジョルジュ・ジャンニオのブルゴーニュの家を訪れた時に始まり、約2年間でおよそ50点が作られた。1892年には画商デュラン=リュエルの画廊でまとめて展示された。実際の場所をそのまま記録した地図のように見るより、版に置いた色と描き足した線から風景が生まれる実験として見ると面白い。