何が描かれているか
黒い服の楽団員が手前に集まり、その上に明るい衣装の踊り子たちが見える。中央でファゴットという低音の木管楽器を吹くのは、ドガの友人デジレ・ディオー。通常の客席からの眺めより、舞台の前にくぼんだ演奏席へぐっと近づいている。踊り子の上半身は画面の上端で切れ、顔までは見えない。
作品の見どころ
手前の頭、楽器、譜面台は密集する一方、上の舞台には明るい脚と衣装が広がる。黒と白の対比が二つの場所を分け、低い演奏席と高い舞台の関係を感じさせる。まずディオーの横顔と楽器を見てから、上の踊り子へ視線を移したい。舞台の主役を端で切ることで、普段は目立ちにくい演奏者が画面の中心になる。
制作背景
1870年頃、ディオーのために制作された油彩画。ドガとオペラ座の関わりには、踊り子を観察することに加えて音楽家との親交もあった。この絵は楽団員の肖像と舞台の場面を組み合わせている。華やかな演目が見える場所と、それを音で支える仕事の場所を一枚に収めた構成として、後の稽古場や舞台袖の絵と比べてみたい。