何が描かれているか
装飾の多い室内で三人の女性が座り、右の女性は背を向けて部屋を出ようとする。衣装、敷物、壁、器が異なる模様で埋まる。
画家が1832年の北アフリカ旅行で得た記憶や素描をもとに、帰国後に組み立てた室内画である。目の前で同じ配置を写した写真のような記録ではない。座る人物の身体は低く横へ連なり、右端の立つ人物だけが画面外へ向かう流れを作る。
作品の見どころ
左の白い服、中央の濃い色、右の立ち姿へ視線を移そう。座る三人の静けさに、退出する一人の動きが時間を加える。
赤、緑、金、白が細かな模様として隣り合う。遠くからは落ち着いた室内に見え、近くでは色の粒が互いを強める。模様を一つずつ数えた後で室内全体を見ると、細かな色が落ち着いた暗がりへ溶ける様子が分かる。
制作背景
1834年のサロンに出品された。モロッコとアルジェリアへの旅行経験は重要だが、作品は19世紀フランスの男性画家が異文化を見て再構成したものでもある。
現在はルーヴル美術館所蔵。人物を一括して異国的な飾りとして扱わず、座る、話す、退出するという個々の行動を見る。旅行時の素描を根拠にしながらも、帰国後の再構成であることを忘れず、現地生活の完全な記録とは扱わない。