1828年
30歳頃

空中のメフィストフェレス

画家 ウジェーヌ・ドラクロワ →
Mephistopheles in the Air / ワシントン・ナショナル・ギャラリー
町の上を飛ぶ悪魔を、細かな黒い線で描いた『ファウスト』の版画はんが。

何が描かれているか

大きな翼のある人物が、塔や屋根の並ぶ町の上を飛ぶ。ゲーテの戯曲『ファウスト』に登場する悪魔メフィストフェレスである。腕と脚は曲がり、頭は下の町へ向く。周囲の空や雲も黒い線の集まりで表され、白い紙の明るさがそのまま空の光になる。色の多い油彩ゆさい画とは違い、黒と白だけでも、不安な空気や空中の動きを感じられる一枚だ。

作品の見どころ

翼の骨に沿う線と、空を埋める細かな線を見比べたい。線を密に重ねた体は暗く、顔や雲には明るい部分が残る。町の建物は小さくまとまり、その上の悪魔が大きく浮かぶ。画面の上下で大きさを変えることで、空の高さも感じられる。輪郭りんかくを追うだけでなく、細い線がどこで密になり、どこで途切れるかを見ると、版画の明暗を楽しめる。

制作背景

掲載した版はNGA所蔵の1994.60.13。同館は1828年、リトグラフの第1状態と記録する。版の修正段階を示す「状態」は、別の油彩作品という意味ではない。メトロポリタン美術館は、画家が1826年から版画を制作し、1828年刊のフランス語版『ファウスト』を挿さ絵で飾ったと説明する。

作品情報

材質・技法
紙にリトグラフ(シーヌ・コレ)
所蔵
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
目録番号
1994.60.13

出典・画像について

画像:Eugène Delacroix《空中のメフィストフェレス》/Courtesy National Gallery of Art, Washington
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-10-04 確認)
作品の全景と原ファイルを保持。色補正・生成・作品内の切取りなし。所蔵館の個別PD画像はCC0のOpen Access配布。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

新潮美術文庫 20 ドラクロワ
F・V・E・ドラクロワ/日本アート・センター / 新潮社
戦争や異国の風俗、聖書の主題まで、ドラクロワの色彩と筆づかいをたどる96ページの小さな画集です。
楽天ブックスで見る →