物語のない花束にも、色の重なりと筆の動きがある。紙の静物を楽しむ。
何が描かれているか
灰色の花瓶に、白、黄色、赤紫の花が集まる。左右へ伸びる茎や葉があり、花びらはそれぞれ違う大きさと向きで重なる。背景の薄茶色は紙の色でもある。歴史や神話の人物は登場せず、花束そのものが主役になる。花の種類を一つずつ言い当てなくても、明るい花と暗い花、上へ伸びるものと横へ傾くものの違いから、構成を楽しめる。
作品の見どころ
白い花びらの周りに青灰色の影があり、黄色い中心や赤紫の花がはっきり見える。細い輪郭線の残る花と、色を厚く重ねた花も比べたい。花瓶の下や花の間では、紙の地が広く見えている。すべてを同じ細かさで埋めないため、目が花束の中を行き来するように感じられる。静かな題材でも、色の対比や筆の跡を通して、画家の手の動きが伝わってくる。
制作背景
NGAは1843年、所蔵番号1995.47.37と記録する。木炭の上に水彩、グアッシュ、黒チョークを用いた紙の作品で、カンヴァスの油彩ではない。グアッシュは不透明な水彩で、白い花や濃い色の部分を観察する手がかりになる。同名の別の花の油彩と混同せず、使われた材料の幅を見たい。
出典・画像について
画像:Eugène Delacroix《花》/Courtesy National Gallery of Art, Washington
作品の全景と原ファイルを保持。色補正・生成・作品内の切取りなし。所蔵館の個別PD画像はCC0のOpen Access配布。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
新潮美術文庫 20 ドラクロワ
F・V・E・ドラクロワ/日本アート・センター / 新潮社
戦争や異国の風俗、聖書の主題まで、ドラクロワの色彩と筆づかいをたどる96ページの小さな画集です。
楽天ブックスで見る →