晩年の教会壁画。二人の格闘を包み込む、大きな森の空間を見る。
何が描かれているか
巨大な木の下で、背中を見せるヤコブが翼のある天使と組み合う。腕は高く上がり、足は地面を踏みしめる。右側には人や動物が進み、手前には衣や荷物が置かれる。パリのサン=シュルピス教会に描かれた壁画で、聖書のヤコブの格闘を主題とする。二人だけを切り取った絵とは違い、丸い上部まで広がる木々と周囲の景色が大きな役割を持つ。
作品の見どころ
二人の体のねじれを見たあと、中央の太い幹を上へたどってみたい。枝や葉が頭上へ広がり、手前の小さな人物との大きさの違いが森の深さを感じさせる。赤や青の衣、天使の翼、明るい地面は、緑の中で別々の目印になる。動きの強い場面でも、風景がただの背景にとどまらず、視線の道筋を作っているように見える。物語と自然を一緒に描く仕事として眺められる。
制作背景
礼拝堂の注文は1849年で、壁画は1861年に完成した。パリ市の修復資料は、油と蝋を用いた絵具と説明する。漆喰が湿っている間に描く狭い意味のフレスコとは区別したい。ここでは教会の完成壁画を掲載し、1850年の紙の下絵とは別に扱う。丸い頂部も作品全体に含まれる。
出典・画像について
画像:Eugène Delacroix《天使と格闘するヤコブ(壁画)》/The Yorck Project / Wikimedia Commons
作品の全景と原ファイルを保持。色補正・生成・作品内の切取りなし。Commons個別ファイルのPublic domain表示に基づく忠実複製。国や地域で扱いが異なります。
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