1838年
40歳頃

怒れるメディア

画家 ウジェーヌ・ドラクロワ →
Médée furieuse / リール美術館
二人の子を抱える手と短剣。神話の悲劇を、まだ起きていない瞬間で表す。

何が描かれているか

岩陰にいる女性が二人の子どもを抱え、片手に短剣を持つ。ギリシャ神話のメディアである。リール美術館は、夫イアソンに捨てられた彼女が、子どもたちを殺そうとする場面と説明する。ここではその行為が終わった姿ではなく、抱く腕、抵抗する子の体、外へ向く顔が重なる。母子という身近な組み合わせが、物語を知ると恐ろしい緊張を帯びる。

作品の見どころ

明るい肩と子どもの肌が、深い岩の影から浮かぶ。赤い布は体の周囲に曲がり、腕や脚の向きにも折れやねじれが多い。顔が向く先と、短剣が向く先をそれぞれ追ってみたい。体が一か所に集まるのに、動きはさまざまな方向へ広がる。輪郭りんかくを順にたどれば、人物同士がどれほど密接に組み合わされているかが分かる。光と影の違いも、場面の切迫感を強めて見える。

制作背景

1838年の油彩ゆさい、所蔵番号P 542。同館はサロンでの成功に触れ、関連する素描そびょう31点と習作しゅうさくを所蔵すると記録する。ここで掲載するのは、その小さな習作ではなくリールの大きな完成画である。同じ主題には別の時期の作品もあるため、年と所蔵先を合わせて区別している。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩
所蔵
リール美術館
目録番号
P 542

出典・画像について

出典:リール美術館(2026-10-04 確認)
画像:Eugène Delacroix《怒れるメディア》/Wikimedia Commons(撮影者未記載) / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-10-04 確認)
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この画家について本で読む

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F・V・E・ドラクロワ/日本アート・センター / 新潮社
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