柱の間をたどると、天使の呼びかけと聖母の応答が見えてくる。
何が描かれているか
左から大天使ガブリエルが歩み寄り、聖母マリアにキリストを身ごもることを告げる。マリアは開いた本を持ち、胸の前に右手を上げる。上から近づく白い鳩は聖霊を表す。
二人の間には百合の花瓶が置かれる。館は百合を聖母の清らかさの象徴と説明する。背後の金地に対し、桃色と灰色の柱、暗い戸口が、出来事を家の一角へ結びつける。
作品の見どころ
天使の差し出した手から聖母の手へ、横に目を動かしてみよう。言葉は聞こえなくても、二人の身振りが呼びかけと応答をつくる。天使の翼や衣の金線も、動く身体に沿って流れる。
柱は人物を隠す一方、アーチは二人の居場所を囲む。同じ金地の中で、入口と室内の違いが生まれている。床や建物だけでなく、足の位置と衣の重なりからも奥行きを読める。
制作背景
《マエスタ》正面の裾にあった小画面群の最初の場面で、制作年は所蔵館では1307/1308〜1311年。祭壇画の中央に聖母子、その下にキリストの幼年時代の物語が並んだ。
この場面に続く預言者イザヤと《降誕》は、現在ワシントンにある。本に記された預言と後の誕生が、隣の画面へつながる仕組みだった。単独で見るときも、元の連続を意識したい。
《マエスタ》の構成部分
大聖堂の両面祭壇画に属する場面です。本文では元の位置を区別します。工房助手の参加範囲や全体の復元には研究上の不明点が残ります。
作品情報
位置づけ
正面下部、キリストの幼年時代の物語の最初の場面
出典・画像について
画像:Duccio di Buoninsegna《受胎告知(《マエスタ》正面下部)》/Duccio di Buoninsegna / The Yorck Project / Wikimedia Commons
《マエスタ》の構成部分を収めた提供画像の全範囲を保持。上下二場面も切り分けず、拡大・色補正・修復・切り取りなし。Commonsは忠実な二次元複製をPublic Domain Mark/PD-Artとして扱います。PDMはCC0ではなく、複製画像の扱いには国・地域差があります。収蔵館の画像サービスの条件とは区別しています。
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この画家について本で読む
イタリア・ルネサンス美術館
松浦 弘明 著 / 東京堂出版
ジョット、ドゥッチョ、マザッチョからフィリッポ・リッピ、ギルランダイオ、盛期ルネサンスまで、作品を制作年代順にたどる専門的な鑑賞ガイドです。
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