何が描かれているか
左でキリストが盲人の目へ手を伸ばし、背後に弟子たちが並ぶ。右端には視力を得た同じ男性が小さくもう一度描かれ、杖を持たず目を開いて立つ。
一枚の中に治癒の前後を同時に示す「異時同図」の方法が使われる。建物の壁と入口は人物群を区切り、出来事の場所と視線の進行方向をつくる。
作品の見どころ
左の杖を持つ男性からキリストの指へ目を移し、次に右端の立像を見ると、原因と結果を短い距離で読める。形のよく似た衣が、二人が同一人物だと知らせる。
建物は現代の一点透視図法には従わないが、屋根、壁、入口の角度が町の奥行きを作る。人物を金地に浮かべるだけでなく、物語が起きる舞台を組み立てようとしている。
制作背景
1308〜1311年の《マエスタ》裏面プレデッラに属し、現在はロンドンのナショナル・ギャラリーにある。美術館はデザインをドゥッチョ、実制作には助手の関与があると説明する。
工房制作の可能性を隠して「すべて本人の手」と断定しないことが重要である。大祭壇画は多数の場面を短期間で完成させる共同作業でもあり、統一された構想と複数の手が両立していた。