何が描かれているか
玉座の聖母マリアと幼子キリストが、教皇と皇帝へ薔薇の冠を授ける。天使たちも周囲の人々へ冠を運び、音楽を奏でる天使が玉座の足元に座る。
左右には聖職者、市民、商人らが密集し、右奥ではデューラー自身が紙を持って立つ。人々の頭上から、木々と山のある明るい風景がのぞく。
作品の見どころ
大勢の人物を左右に積み重ねながら、中央の聖母子と薔薇の冠へ視線を集める。祝祭のにぎわいと、左右の人物群を整える秩序が同時に見える。
白い薔薇、赤い衣、金の飾りが画面の各所で繰り返される。右奥の画家は群衆から少し離れており、制作年と出身を記す紙によって作品の作者であることを示す。
制作背景
デューラーは1506年、ヴェネツィアのサン・バルトロメオ教会のために本作を制作した。プラハ国立美術館の記録は、1606年に皇帝ルドルフ2世の収集品となった来歴を伝える。
作品は長い年月に損傷と加筆を受け、現在の見え方には19世紀の修復も大きく関わる。美術館の技術調査は、画面のおよそ5分の1に当時の補彩があると報告している。