1514年
42〜43歳

メランコリア I

画家 アルブレヒト・デューラー
Melencolia I / メトロポリタン美術館
道具に囲まれて考え込む人物。版画はんがの細い線に、制作と迷いを重ねる。

何が描かれているか

翼をもつ人物が頬杖をつき、手にコンパスを持つ。足元には球、鉋、鋸などが散らばり、犬は横たわる。壁には砂時計と数表、遠くには海が見える。
天使や道具は一つの出来事を語るためではなく、考え、測り、作る行為を同時に置いている。何かを始める直前のようで、人物は手を止めている。

作品の見どころ

定規で引いたような直線と、羽や衣服の細い線を見比べたい。光は金属、石、肌へ違う調子で当たり、黒い線だけで重さと質感を分ける。
中心の多面体と人物の視線が、意味を簡単に決めさせない。数学の道具があるから「理性の勝利」と単純化できず、制作と停滞が向き合う画面として読める。

制作背景

1514年制作の銅版画で、メトロポリタン美術館は幾何学の寓意との関係を説明する。ただし図像全体については長く多様な解釈があり、唯一の答えは示していない。
このサイトで紹介している油彩ゆさいの自画像や祭壇画さいだんがとは異なり、版画は刷りによって複数の人へ届く。画家の発想を一枚の紙へ凝縮した仕事として見る。

作品情報

材質・技法
銅版画
所蔵
メトロポリタン美術館
位置づけ
計測の道具と考え込む人物を結びつけた、デューラーの代表的な版画。

出典・画像について

出典:www.metmuseum.org 所蔵館・研究機関記録2026-09-22 確認)
画像:Albrecht Dürerメランコリア I》/メランコリア I — The Metropolitan Museum of Art
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-09-23 確認)
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