何が描かれているか
翼をもつ人物が頬杖をつき、手にコンパスを持つ。足元には球、鉋、鋸などが散らばり、犬は横たわる。壁には砂時計と数表、遠くには海が見える。
天使や道具は一つの出来事を語るためではなく、考え、測り、作る行為を同時に置いている。何かを始める直前のようで、人物は手を止めている。
作品の見どころ
定規で引いたような直線と、羽や衣服の細い線を見比べたい。光は金属、石、肌へ違う調子で当たり、黒い線だけで重さと質感を分ける。
中心の多面体と人物の視線が、意味を簡単に決めさせない。数学の道具があるから「理性の勝利」と単純化できず、制作と停滞が向き合う画面として読める。
制作背景
1514年制作の銅版画で、メトロポリタン美術館は幾何学の寓意との関係を説明する。ただし図像全体については長く多様な解釈があり、唯一の答えは示していない。
このサイトで紹介している油彩の自画像や祭壇画とは異なり、版画は刷りによって複数の人へ届く。画家の発想を一枚の紙へ凝縮した仕事として見る。
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この画家について本で読む
ドイツ・ルネサンスの挑戦 デューラーとクラーナハ
田辺 幹之助 監修・著/新藤 淳・岩谷 秋美 著 / 東京美術
デューラーとクラーナハを軸に、宗教改革や宮廷文化と結びついたドイツ・ルネサンスの表現をたどる一冊です。
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