祈る手(習作)
画家 アルブレヒト・デューラー →Betende Hände (Detail aus dem “Heller-Altar”) / アルベルティーナ美術館
青い紙の上で、白い光が指を浮かせる。祭壇画の人物を描く準備として作られた、手の習作です。
何が描かれているか
両手が指を伸ばしたまま合わされ、画面の右上へ向いています。顔や体はなく、袖口から先の手だけを見せています。青灰色の紙に、黒っぽい線と白い光が重なり、指の節や手の甲が浮かびます。
祈る姿を描いたこの一枚は、完成した祭壇画のための習作です。習作とは、人物の一部や姿勢などを、完成作に向けて確かめる絵のことです。ここでは手と袖口に観察が集まっています。
作品の見どころ
白い線がどこに置かれているか、指先からたどってみてください。関節の山や皮膚のしわに沿って明るさが続き、指の間は暗くなっています。輪郭だけでなく、光でも手の形を作っています。
袖口の深い折れ目と、指の細かな曲がり方を比べると、布と皮膚の違いが見えます。背景の青い紙を明暗の中間として使うため、白も黒もはっきり働いています。
制作背景
一五〇八年に、筆とインク、白の加筆などで描かれました。対象は《ヘラー祭壇画》の右側にひざまずく使徒、つまりキリストの弟子の一人の手です。
祭壇画は商人ヤーコプ・ヘラーが、フランクフルトの教会のために注文しました。小さな部分を確かめる準備の絵から、大きな宗教画を作る仕事へつながる一枚として見られます。
作品情報
材質・技法
筆・灰色と黒のインク・灰色の淡彩・白の加筆(青く下塗りした紙)
出典・画像について
画像:Albrecht Dürer《祈る手(習作)》/The ALBERTINA Museum, Vienna / Albrecht Dürer, Google Art Project, via Wikimedia Commons
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