狩りを止めた男と、角の間に十字架を持つ鹿。犬や馬、遠くの城まで、細い線の違いを追えます。
何が描かれているか
狩りの衣装を着た男がひざまずき、右奥の鹿に両手を向けています。鹿の角の間には、十字架にかけられたキリストの小さな姿があります。手前には猟犬が集まり、中央の馬は静かに立っています。
これは、聖エウスタキウスになる人物が狩りの途中でキリストに出会うという伝説の場面です。宗教的な出来事が、犬、馬、木々の細かな姿に囲まれて描かれています。
作品の見どころ
まず手前の犬を一匹ずつ見てみてください。横たわる体、立ち上がる首、丸くなった背中など、同じ動物でも姿勢が違います。男と鹿の間を大きく占める馬は、視線を奥へ導きます。
背景の城から岩場、木の幹へ目を移すと、細い線の方向や密度が変わります。遠景にも多くの形がありますが、鹿の周囲は比較的明るく、角の間の十字架を見つけやすくしています。
制作背景
一五〇一年頃の銅版画です。ここで使われるエングレーヴィングは、金属板に道具で溝を刻み、そこに入れたインクを紙へ写す方法です。
肌の滑らかさ、動物の毛、硬い岩は、同じ黒い線で描かれています。伝説を知ってから全景へ戻ると、主役の身振りだけでなく、狩りの場を囲む自然にも目を配れる一枚です。
出典・画像について
画像:Albrecht Dürer《聖エウスタキウス》/The Metropolitan Museum of Art, New York
所蔵館が公開した個別画像のCC0表示と利用条件を確認しています。
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