1505年頃
33〜34歳頃

救世主キリスト

画家 アルブレヒト・デューラー
Salvator Mundi / メトロポリタン美術館
衣は完成しているのに、顔と手は線のまま残る。完成作では隠れる制作の順序を、一枚の中で比べられる。

何が描かれているか

正面向きのキリストが、片手を祝福の形に上げ、もう一方の手で水晶球を支える構想である。金色の光背、青と赤の衣、背景は彩色されているが、顔と両手には下描きの線が残る。
完成部分では、衣のひだや縁飾りが色と光で形づくられる。未完成部分では、目、鼻、指、水晶球の輪郭りんかくが細い線で置かれ、彩色前の計画が見える。

作品の見どころ

衣は完成しているのに、顔と手は線のまま残る。完成作では隠れる制作の順序を、一枚の中で比べられ、下描きが単なる走り書きではないことも分かる。
光背と身体はほぼ左右対称に置かれるが、衣の色と手の動きが硬さを和らげる。頭の中で顔と手の彩色を補わず、残された段階そのものを見ることがこの作品の魅力である。

制作背景

メトロポリタン美術館は1505年頃、菩提樹板の油彩ゆさいとして所蔵し、未完成作と明記する。下描きの線は、デューラーが輪郭と陰影を準備してから色を重ねた過程を伝える。
なぜ制作が止まったかは確定していない。未完成を意図的な表現と断定せず、現在見えている完成度の違いを、工房での制作手順を知る資料として扱う必要がある。

作品情報

材質・技法
油彩、菩提樹板
所蔵
メトロポリタン美術館
位置づけ
完成した衣と、未完成の顔や手が同じ画面に残る。下描きから彩色へ進む制作の途中を直接見られる。

出典・画像について

出典:メトロポリタン美術館 作品記録2026-09-22 確認)
画像:Albrecht Dürer救世主キリスト》/救世主キリスト — Albrecht Dürer / The Metropolitan Museum of Art
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-09-22 確認)
CC0として公開されている画像です。
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