顔の視線と、植物をつまむ指。若い画家が自分を描いた一枚を、後年の自画像と見比べられます。
何が描かれているか
赤い房飾りのついた帽子をかぶった若い男性が、暗い背景の前でこちらを見ています。これは一四九三年のデューラー自身の姿です。白い衣服を赤いひもで区切り、その上に灰色がかった上着を重ねています。
胸元から画面右下へ目を移すと、とげのある植物を持つ両手があります。ルーヴル美術館ではアザミ、またはエリンギウムと呼ばれる植物と説明しています。頭上の年記と文字も、画面を構成する一部です。
作品の見どころ
巻いた髪には細い線が続き、頬や首にはなめらかな明暗が広がります。髪、肌、衣服の縫い目を順に比べると、同じ人物の中でも描き方を変えていることが分かります。
顔は少し横を向いていますが、目は見る人へ向いています。指が植物をつまむ形にも注目してみてください。顔と手の二か所に、視線を戻しながら見られる肖像です。
制作背景
もとは羊皮紙に油彩で描かれ、現在はカンヴァスに貼られています。ルーヴルは、婚約に関係する肖像だった可能性を挙げています。
その読みでは、植物は夫婦の忠実さを示す印とされます。ただし、贈り先や目的が確定したという説明ではありません。後の自画像と服装や手の位置を比べる入口にもなります。
出典・画像について
画像:Albrecht Dürer《アザミを持つ自画像》/Albrecht Dürer / The Yorck Project (2002), via Wikimedia Commons
CommonsのYorck Project版のPDM表示を採用。複製画像の扱いには法域差があり、ルーヴルが配布する写真とは条件が異なります。
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