耳の毛先から前脚の影まで。紙に描いた一匹の兎を、距離を変えながらじっくり観察できます。
何が描かれているか
茶色い野兎が前脚をそろえ、長い耳を立てて座っています。周囲には風景がなく、紙の明るさの中で一匹の体が浮かびます。右側に落ちる影が、兎の重さと、そこに置かれた足の位置を見せています。
背中には茶色や黒の毛が重なり、腹側は明るくなっています。耳の内側と外側、頬の短い毛、前脚の先を見比べると、ひとつの体の中にも多くの違いがあることに気づきます。
作品の見どころ
最初は少し離れて、兎の丸い形を見てください。次に目を近づけると、その形が細かな毛の線に変わります。鼻の横から伸びるひげは長く、耳や背中の毛とは別の線で描かれています。
黒い目の小さな明るい部分にも注目できます。所蔵館はそこに窓の形の反射を読み取っています。ただし、反射だけから、生きた兎をどのように観察したかまで断定はできません。
制作背景
一五〇二年の作品で、水彩に不透明な絵の具と白の加筆を組み合わせています。薄く透ける色と、毛先に置いた明るい色が同じ紙の上にあります。
下の年記と画家の印まで含めて見ると、兎の体と紙の余白の関係も分かります。何を表す動物かという意味を急いで決めず、毛、目、影の描き分けから楽しめる自然の絵です。
出典・画像について
画像:Albrecht Dürer《野兎》/The ALBERTINA Museum, Vienna / Albrecht Dürer, Google Art Project, via Wikimedia Commons
Commonsの忠実な平面複製のPDM表示を採用。複製画像の扱いには法域差があり、ALBERTINAは配布画像の複製権を主張しています。
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