グロス・クリニック
画家 トマス・イーキンズ →Portrait of Dr. Samuel D. Gross (The Gross Clinic) / フィラデルフィア美術館/ペンシルヴェニア美術アカデミー(共同所蔵)
血の付いた手を上げて説明する外科医。手術室の光は、医師の額と患者の体を強く照らします。
何が描かれているか
中央に立つのは外科医サミュエル・グロスです。ジェファーソン医学校の階段式教室で、患者の左大腿を手術しながら学生へ説明しています。左で顔を背ける女性は、伝統的に患者の母と考えられてきました。患者の体をどう読むかさえ容易ではない、近代の医療を正面から描いた場面です。
作品の見どころ
暗い服の一群から、グロスの額と、血の付いた指先が浮かびます。そのそばで手術を続ける助手と、顔を覆う女性。知識を伝える落ち着いた身振りと、見ることに耐えられない仕草が同じ場所にあります。奥の通路脇には、記録を取る画家自身の姿も描き込まれています。
制作背景
イーキンズは1876年のフィラデルフィア万国博覧会を目指して制作しました。しかし美術部門では受け入れられず、陸軍の野戦病院を模した展示で公開されます。残酷すぎると退ける声と、高く評価する声が並びました。何を「美術として見せるべきか」を、当時の観客へ突きつけた作品です。
作品情報
所蔵
フィラデルフィア美術館/ペンシルヴェニア美術アカデミー(共同所蔵)
出典・画像について
画像:Thomas Eakins《グロス・クリニック》/グロス・クリニック — Thomas Eakins / Wikimedia Commons / Public Domain Mark 1.0
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