他人の顔を見つめてきた画家が、自分の顔に向き合う。傾いた頭と、こちらへ返す視線が残ります。
何が描かれているか
イーキンズが、暗い上着と白いシャツで自分を描いています。髪と口ひげは飾り立てられず、顔には年を重ねた線が見えます。筆やパレットを大きく掲げることもなく、一人のモデルと同じ距離から自分を見ているような肖像です。
作品の見どころ
頭はわずかに傾いていますが、目は見る人へ戻ってきます。白い襟と顔が暗い衣服から浮かび、体よりも表情へ注意が集まります。厳しさや疲れを感じても、それをそのまま画家の心情と決めることはできません。見る側の読みが入り込むことまで感じさせる顔です。
制作背景
1902年は、画家がナショナル・アカデミーの準会員に選ばれた年です。メトロポリタン美術館の回顧展には、同アカデミー所蔵のこの自画像が出品されました。若いボート画や手術室の片隅へ自分を入れてきた画家が、ここでは背景の物語を減らし、自分一人を作品の中心に置いています。
作品情報
所蔵
ナショナル・アカデミー・オブ・デザイン(ニューヨーク)
出典・画像について
画像:Thomas Eakins《自画像》/自画像 — Thomas Eakins / Wikimedia Commons / Public Domain Mark 1.0
ナショナル・アカデミー所蔵の1902年の自画像。ハーシュホーン所蔵の別作ではありません。配布画像の全体を比例縮小。作品内容の切り取り・色補正・拡大補間なし。
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