何が描かれているか
手前には色鮮やかな衣や甲冑を着た軍人たちが並び、指や顔の向きを変えて話し合う。主題は、信仰を捨てず殉教したと伝わるマウリティウスとテーバイ軍団。中央の大きな人物群は決意の場面を示す。
左奥では小さな人物が列を作り、処刑の場面が進む。上空には楽器を奏で、冠を持つ天使たちが集まる。決意、死、天上の迎えという異なる段階が、一枚の縦長の絵に重ねられている。
作品の見どころ
まず手前の手の動きを追い、次に左奥へ目を移そう。物語で最も激しい出来事が遠く小さく描かれ、近くの人々の会話が大きく見える。どの場面を強調した絵なのかを考えられる。
青、黄、赤い布の鋭い折れ目と、長く伸びた脚も見どころである。人物の大きさの差が、地上と天上を行き来する視線を支える。
制作背景
1580年にフェリペ二世が修道院の祭壇用に注文し、1582年に完成した。王は代金を支払ったものの、予定された祭壇には採用せず、別の画家に新しい作品を注文した。
採用しなかった理由には複数の説がある。殉教を奥へ移した構成も論じられるが、一つの理由に決めつけられない。王室の注文と、トレドで評価された宗教画の違いを考えるための作品である。