何が描かれているか
画面下では、聖ステファノと聖アウグスティヌスが甲冑を着たオルガス伯の身体を支える。黒い服の参列者が横一列に並び、その上では雲の中にキリスト、聖母、聖人たちが集う。
伝説では、慈善で知られた伯爵の埋葬に二人の聖人が現れたとされる。絵は中世の出来事と、16世紀トレドの人々の肖像を一つに重ねている。下の埋葬は地面に沿って横へ広がり、上の天上界は中央へ吸い込まれるように細くなる。
作品の見どころ
下の横長で静かな列と、上の渦巻くような動きを比べよう。地上と天上は形が違うが、中央を昇る小さな魂が二つの世界をつなぐ。
黒い服は一様に見えて、顔、襟、手の間隔が少しずつ違う。大勢の中から個人を描き分ける肖像画家としての力も見つけられる。金色の甲冑を起点に顔の列、雲の上へ進むと、大画面を地上から天上まで迷わずたどれる。
制作背景
1586年3月に契約され、1588年までにトレドのサント・トメ教会へ納められた。現在も同教会で見ることができる。
作品は伯爵の慈善と教会への寄進を記念する役割を持った。単なる葬儀の記録ではなく、地域の伝承、信仰、同時代の肖像を合わせた大画面である。所蔵場所が制作時の教会に保たれているため、祭壇や礼拝空間との関係も含めて見られる作品である。