何が描かれているか
聖母マリアが白い布の上の幼いキリストを示し、周囲の人々が身を寄せる。顔や胸に手を置く人物、ひざまずく人物が輪を作り、近くには牛の頭も見える。羊飼いたちが誕生したキリストを礼拝する場面である。
上空には天使と小さな子どもの姿が集まり、帯状の文字を掲げる。下の人物の長い脚と、上の天使の大きな衣が縦長の画面をつなぐ。地面の広さより、上下へ続く人の動きが目立つ。
作品の見どころ
最初に赤ん坊と白い布を見て、光の届く顔や手を順に追ってみよう。幼い身体を中心に光が広がる。周りの暗さが小さな身体を強く目立たせる。
右の人物は長い脚を見せ、手前の人物はひざを折る。無理なく立てる身体かどうかだけで見ると不思議だが、斜めの輪郭を追うと大きな円の動きが感じられる。上の衣にも同じ流れを探せる。
制作背景
1612〜1614年、晩年の作品である。トレドのサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂に設けた画家の家族墓のために制作され、現在はプラド美術館が所蔵する。
この聖堂は、スペインに来た画家が初期の大作を描いた場所でもある。《聖母被昇天》と比べると、晩年には人物の長さや光をさらに強く使うことが分かる。墓のための礼拝画として、誕生の主題が選ばれた。