何が描かれているか
暗い室内の中央で、母親らしい女性が幼い子を膝の上に支えている。足元には子どもと犬、左の開口部には男性とロバの頭が見える。奥にも人物がいて、家族の集まりを楕円形の画面が包み込む。
幼い子は女性の顔の方へ手を伸ばし、彼女も子を見上げる。窓からのぞく男性は一般に父親と解釈されるが、誰か特定の家族の肖像と確定しているわけではない。顔と手が作るつながりを追ってみたい。
作品の見どころ
白い衣服と赤いスカートに光が当たり、中央の母子が暗い背景からはっきり浮かぶ。窓辺の男性は、後ろの明るさによって輪郭が見える。二つの光の使い方を比べると、室内の奥行きも感じられる。
楕円の縁は人物や家具を一つのまとまりに収める。庭園の作品とは違い、多くの人が近くに集まる。中央から周囲へ視線を広げると表情の違いが分かる。
制作背景
所蔵館は1775年頃の油彩画として記録する。同じ主題には複数の異作や版画があり、研究資料は、1774年のイタリア旅行からの帰国と1777年の版画刊行の間の制作を考えている。
ただし1777年の売立ての絵や、版画の原画がどの異作だったかは確定できない。他の版と混同せず、母子の明るさや楕円の配置という、この絵の特徴から見たい。