1771〜1772年頃
40歳前後

恋の成り行き:追いかける恋

画家 フラゴナール
The Progress of Love: The Pursuit / フリック・コレクション(ニューヨーク)
大きな木々の下で、若い男性が女性へ花を差し出そうとする。人物は小さくても、庭全体がその動きを引き立てている。《恋の成り行き》という連作れんさくの一場面で、恋が始まるときの接近やためらいを描く。

何が描かれているか

画面の大半を占めるのは、枝を広げる木や庭の飾りである。その下に若い男女が集まり、男性は女性へ花を差し出す。人が小さいため、初めは風景画のように見えるが、視線を下げると恋のやり取りに気づく。
《恋の成り行き》は、花を差し出す場面、逢い引き、恋人に冠を与える場面、手紙を読む場面などで愛の関係を示す連作。これはその中でも、相手へ近づこうとする場面に当たる。

作品の見どころ

白く明るい服の人物を目印に、伸ばされた腕と花の位置を探してみよう。風景の中の小さな身ぶりが、人物同士の距離を変えるきっかけとして働いている。
木の枝や装飾の曲線は、人々の動きよりはるかに大きい。それでも人物を押しつぶすようには見えず、舞台の背景のように囲んでいる。人だけでなく庭にも同じ軽やかなリズムを感じられる。

制作背景

1771〜1772年頃、デュ・バリー夫人のために制作された主要な四枚のうちの一枚。独立した小さな絵ではなく、室内を飾る連作として考えられた作品である。
連作は注文主へ納められた後、フラゴナールへ返されたが、その理由は確定していない。現在はニューヨークのフリック・コレクションが所蔵する。《逢い引き》と並べて見ると、同じ庭園の恋でも緊張の違いを味わえる。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
フリック・コレクション(ニューヨーク)

出典・画像について

画像:Jean-Honoré Fragonard恋の成り行き:追いかける恋》/恋の成り行き:追いかける恋 — Jean-Honoré Fragonard / The Frick Collection / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-10 確認)
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