1822年
48歳頃

海辺の月の出

画家 カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ →
Mondaufgang am Meer / 旧国立美術館(ベルリン)
三人の後ろ姿を手掛かりに、夕空と海の明るい帯を見る。

何が描かれているか

海辺の岩に二人の女性と一人の男性が座り、沖を眺めている。帆船の影の向こうで雲が切れ、月の光が海と水平線の近くに広がる。手前の岩と人物は暗く、奥の空には黄や紫の色が重なる。
三人の顔ははっきり見えず、身体の向きが見る先を知らせる。船の帆やマストは細い縦の形になり、横へ広がる海と対照をなす。小さな月を探すと、題名が示す光の起点を確かめられる。

作品の見どころ

人物の頭が並ぶ高さと、明るい空の帯の位置を比べてみたい。岩の上から一緒に海を見ているような距離感が生まれる。誰か一人の表情よりも、三人を囲む光と広さが印象を作っている。
暗い前景から遠い光へ向かう構成は、《海辺の僧侶》とも比べられる。ただし、こちらには並んで座る人と船がある。同じ海の題材でも、人物の数や光の置き方で見え方が変わる。

制作背景

銀行家ヴァーゲナーの注文で1822年に描かれた油彩ゆさい画で、朝の風景《孤独な木》と対になる。館によれば、画家は同年十一月一日の手紙で完成を知らせた。完成報告と納品は別である。
ここで扱うのはベルリン所蔵の1822年作である。同名の別作品とは、制作年と所蔵先で区別する。朝と夕の対という背景を知ると、空の色と時間の表現をより比べやすくなる。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩
寸法
55 × 71 cm(縦 × 横)
所蔵番号
W.S. 53
対作品
孤独な木(Der einsame Baum)

出典・画像について

画像:Caspar David Friedrich《海辺の月の出》/Staatliche Museen zu Berlin, Nationalgalerie / Jörg P. Anders
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0(画像情報:2026-10-02 確認)
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