1835〜1838年
61〜64歳頃

棺の上のフクロウ

画家 カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ →
Eine Eule auf einem Sarg / ハンブルク美術館 版画素描室
暗い墓穴の手前と、月のある明るい遠景を見比べる。

何が描かれているか

開いた墓穴の上を板が渡り、その上に棺が置かれている。棺のふたには大きなフクロウが正面を向いて止まる。手前には二本のシャベルと巻いた縄があり、両脇のアザミが高く伸びている。
遠景には海と岸が広がり、鳥の頭の上に月が見える。手前の土や棺は濃い褐色かっしょくで、奥の空は淡い。真ん中のフクロウだけでなく、暗い近景と明るい遠景の差も見てみたい。

作品の見どころ

細かな輪郭りんかく線と、薄い色を広げた部分が同居している。油彩ゆさいの厚い絵具ではなく、紙に筆やペンで描いた作品である。羽、棺の飾り、縄の輪を比べると、線の密度に違いがある。
共同公式資料は、フクロウを死の象徴、アザミを人生の困難、明るい奥を死後の希望として読む。これは館が示す解釈であり、鳥や植物の意味をいつでも一つに固定する説明ではない。

制作背景

1835〜1838年に制作された晩年の素描そびょうで、ハンブルク美術館が所蔵する。鉛筆の下描きに褐色の筆や灰色インクのペンを重ねている。墓を主題にした同時期の作品群に位置づけられる。
月と海、暗い手前という組み合わせは、ほかの風景にも通じる。ただし、ここでは棺や道具が具体的に置かれる。画家自身の死を予告したと決めず、描かれた物と館の読解を手掛かりに眺めたい。

作品情報

材質・技法
紙に鉛筆の下描き、褐色の筆、ペンと灰色インク
寸法
38.3 × 38.5 cm
所蔵番号
41119

出典・画像について

画像:Caspar David Friedrich《棺の上のフクロウ》/Hamburger Kunsthalle / bpk; Foto: Elke Walford
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0(画像情報:2026-10-02 確認)
提供画像の全範囲を保持して掲載。原作品と忠実な複製の権利判断には法域差があります。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
ヴェルナー・ブッシュ 著/杉山あかね 訳 / 三元社
素描から本画へ至る過程と画面構成をたどり、フリードリヒの風景画を一歩深く読める研究入門です。
楽天ブックスで見る →