1823〜1824年
49〜50歳頃

氷の海

画家 カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
Das Eismeer / ハンブルク美術館
船を押しつぶす氷塊を主役にし、人間を寄せつけない自然の力を示す。

何が描かれているか

割れて積み重なった氷が画面中央へ鋭く立ち上がり、その下に船尾の一部が見える。
人の姿はなく、茶色い氷と青白い遠景が地平線まで続く。手前の氷は平たい板のように重なり、中央では鋭い塊が斜め上へ突き出す。船の木部は右側の氷の下からわずかに現れ、見落とすほど小さく扱われている。

作品の見どころ

三角形の氷塊が上へ押し上がる動きによって、静止した風景なのに破壊の瞬間を感じる。
難破船を小さく隠すことで、物語の主人公を人間ではなく氷そのものにしている。氷の縁には白い光が当たり、側面は黄褐色かっしょくや灰色へ沈む。形の向きが中央へ集中する一方、遠景は低く静かな水平線となり、圧力の差が強調される。船より氷の形が先に目へ入る構成である。

制作背景

1823〜1824年に制作された。北極探検と難破の報道への関心を背景に、氷の習作しゅうさくをもとに構成された。
《希望号の難破》とも呼ばれるが、特定の船の正確な記録画ではない。探検への関心は背景だが、画面を特定の事故報告の絵として読む必要はない。習作で観察した氷の形を組み直し、人間の船より自然の力を大きく見せた構成である。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ハンブルク美術館
別称
希望号の難破

出典・画像について

画像:Caspar David Friedrich氷の海》/氷の海 — Caspar David Friedrich / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-12 確認)
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
ヴェルナー・ブッシュ 著/杉山あかね 訳 / 三元社
素描から本画へ至る過程と画面構成をたどり、フリードリヒの風景画を一歩深く読める研究入門です。
楽天ブックスで見る →