何が描かれているか
窓のそばに座る若い画家が、右手で頭を支えている。巻いた髪と口ひげが目立ち、もう一方の手は机上の紙に置かれている。顔だけを切り取らず、窓、植木鉢、机まで一緒に描いた自画像である。
服や首の陰は、細い褐色の線を何度も重ねて作られている。右側の壁には縦線が続き、窓辺の明るい紙の地と対照をなす。髪の曲線と背景の直線を比べると、線の働きがよく見える。
作品の見どころ
画家の右手には細い筆記具が残り、左手の下には描きかけの紙がある。共同公式資料は、この姿を作業を中断して窓の外へ目を向けた場面と説明している。手と視線の方向をたどってみたい。
この姿勢から、実際の気分や性格まで決めることはできない。目の周りの細かな線、頬を支える指、肩から袖へ続く輪郭を順に見ると、顔の表情だけではない描写の工夫に気づく。
制作背景
1802年頃、二十代後半のフリードリヒによる素描で、ハンブルク美術館が所蔵する。鉛筆の下描きに褐色インクのペンを重ねたもので、油彩の肖像画や版画ではない。
共同公式資料は、別の横顔の肖像との比較を年代の手掛かりとしている。「頃」という幅を残して見る作品である。大きな風景画の前に、若い時期の線の扱いを確かめられる。
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