何が描かれているか
海辺に子ども二人、若い女性、成人男性、杖を持つ老人が立ち、沖には五隻の船が浮かぶ。
近くの小舟から遠い帆船まで、船の位置と大きさが一つずつ異なる。人物は画面右寄りの岸へ集まり、子どもたちは小さな旗を掲げる。最も近い大きな船は中央へ進み、遠い船ほど帆と船体が小さく、海の奥行きを示している。
作品の見どころ
年齢の異なる五人と五隻の船を対応させるように見ると、人生の出発、成熟、帰還という時間が立ち上がる。
夕暮れの穏やかな光は、別れだけでなく家族が同じ場所にいる温かさも残す。夕方の空には橙と青が薄く重なり、人物の衣服には赤や青のはっきりした色が置かれる。岸と海を分ける線は低く、広い空が人と船を同じ光の中へ包む。
制作背景
1834年頃の晩年作。題名は後世に定着したもので、画中人物を画家の家族とする読みもあるが、全員の身元は確定していない。
人生を航海になぞらえる解釈が一般的だが、細部の意味を一つに決めずに見る余地がある。人物と船の数が同じでも、一人と一隻を厳密に対応させたという記録までは示されていない。題名も後世のため、人生の比喩は有力な読みとして示し、唯一の答えにはしない。
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
ヴェルナー・ブッシュ 著/杉山あかね 訳 / 三元社
素描から本画へ至る過程と画面構成をたどり、フリードリヒの風景画を一歩深く読める研究入門です。
楽天ブックスで見る →