近くの荒い岩から遠い雪山へ、三角形の重なりをたどる。
何が描かれているか
手前には茶色い岩と草があり、その奥で山々の稜線が重なっている。さらに遠くの雪に覆われた頂が、青い空へ大きく伸びる。人や動物は描かれず、目立つ道もない、山だけの広い風景である。
近くの岩は暗く、遠い雪山は白く明るい。岩の割れ目や草の細かさから、滑らかな遠景へ目を移してみたい。色、明るさ、細部の量が変わることで、山までの隔たりを感じられる。
作品の見どころ
いくつもの斜面が三角形を作り、その形が奥へ重なっている。ヴィンタートゥール美術館も、この幾何学的な構成に注目している。単に高い山を描く以上に、岩と山の形が互いに響き合う。
登山者を置かないため、山の大きさを人の身体と直接比べられない。手前の岩も遠い頂も、画面の中で強い存在感を持つ。《雲海の上の旅人》と比べると、人の有無による違いが分かる。
制作背景
1824〜1825年に描かれた油彩画で、デカ社が所有し、ベルリンの旧国立美術館へ寄託している。展示先と所有者は異なる。
画家はアルプスを訪れておらず、弟子アウグスト・ハインリヒの水彩と、自分が他の山地で描いた習作を使った。ベルリンとヴィンタートゥールの両館が説明する制作方法で、現地の写生そのものではない。
作品情報
所有・展示
デカ社(フランクフルト)所有、旧国立美術館へ寄託
出典・画像について
画像:Caspar David Friedrich《ヴァッツマン》/Staatliche Museen zu Berlin, Alte Nationalgalerie / Andres Kilger; Leihgabe der Deka, Frankfurt am Main
写真:Andres Kilger。CC BY-SA 4.0。全範囲を保持しJPEGへ再保存。派生画像も同じ条件で提供。
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