何が描かれているか
画家の娘メアリーとマーガレットが暗い森で寄り添う。姉メアリーは妹の肩へ腕を回し、妹マーガレットは左上を飛ぶ白い蝶へ手を伸ばす。二人の足元や背景は描きかけである。
妹の白い服と姉の黄褐色の服が並び、丸い顔と柔らかな腕が暗がりから浮かぶ。蝶は小さな白い形にすぎないが、少女たちの視線と指先がそこへ集まり、画面に動きを与える。
作品の見どころ
逃げる蝶へ伸ばす手と、それを支える姉の腕が一つの輪をつくる。妹の動きが外へ向かう一方、姉は身体を引き寄せ、好奇心と保護の気持ちを同じ身ぶりで見せる。
顔と手は比較的整えられているが、衣服や背景では下地と速い筆が残る。未完成のため、幼い姿が固定された記念像より、動き出す直前のスケッチのように感じられる。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは1756年頃の未完成作とする。二人はゲインズバラの娘で、メアリーは1748年、マーガレットは1751年に生まれた。画家は娘たちを複数回描いた。
蝶を短い幼年期や失われる無邪気さの象徴と読むことはできるが、画家自身の説明は残らない。所蔵館も可能性として扱うため、象徴を唯一の答えにせず、姉妹の動作から見る。