何が描かれているか
森の中で若いゲインズバラと妻マーガレットが、幼い娘メアリーを左右から囲む。画家は片手を妻の椅子へ掛け、妻は娘を支える。三人の視線は一つの方向にそろわない。
顔や衣服の一部は描き込まれるが、画家の上着、妻の手、娘の身体、背景には下描きや修正が残る。娘の位置を変えた痕跡も見え、完成した家族写真とは違う制作の途中が開かれている。
作品の見どころ
三人を固い記念像にせず、近づく身体とずれる視線で家族の距離を示す。未完成部分は欠点だけではなく、人物を動かしながら関係を探った画家の判断を直接見せる。
暗い木立を背景に、妻の青いドレスと子どもの明るい服が光を集める。夫の姿は影に寄り、妻と娘へ注意が向く。一方で自分も画面に入り、家族を描く者と家族の一員を兼ねる。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは1748年頃とし、ゲインズバラが描いた最初期の油彩自画像で、家族全員を含む唯一の自画像と説明する。娘メアリーは1748年生まれである。
なぜ未完成のまま残ったかは確定していない。人物の位置やポーズには変更があり、家族の成長に合わせて手を入れた可能性もある。見える修正を一つの完成意図へ決めつけずに読む。