1748年頃
21歳頃

画家と妻、娘の肖像

画家 トマス・ゲインズバラ
Portrait of the Artist with his Wife and Daughter / ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
妻と娘を描く途中の修正まで残り、家族の距離を生々しく伝える。

何が描かれているか

森の中で若いゲインズバラと妻マーガレットが、幼い娘メアリーを左右から囲む。画家は片手を妻の椅子へ掛け、妻は娘を支える。三人の視線は一つの方向にそろわない。
顔や衣服の一部は描き込まれるが、画家の上着、妻の手、娘の身体、背景には下描きや修正が残る。娘の位置を変えた痕跡も見え、完成した家族写真とは違う制作の途中が開かれている。

作品の見どころ

三人を固い記念像にせず、近づく身体とずれる視線で家族の距離を示す。未完成部分は欠点だけではなく、人物を動かしながら関係を探った画家の判断を直接見せる。
暗い木立を背景に、妻の青いドレスと子どもの明るい服が光を集める。夫の姿は影に寄り、妻と娘へ注意が向く。一方で自分も画面に入り、家族を描く者と家族の一員を兼ねる。

制作背景

ナショナル・ギャラリーは1748年頃とし、ゲインズバラが描いた最初期の油彩ゆさい自画像で、家族全員を含む唯一の自画像と説明する。娘メアリーは1748年生まれである。
なぜ未完成のまま残ったかは確定していない。人物の位置やポーズには変更があり、家族の成長に合わせて手を入れた可能性もある。見える修正を一つの完成意図へ決めつけずに読む。

作品情報

材質・技法
油彩、カンヴァス
所蔵
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
位置づけ
若い画家が妻マーガレットと娘メアリーを描いた、唯一の家族自画像とされる未完成作。

出典・画像について

画像:Thomas Gainsborough画家と妻、娘の肖像》/画家と妻、娘の肖像 — Thomas Gainsborough / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
Public Domain表示の画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

西洋絵画の歴史2 バロック・ロココの革新
高階 秀爾 監修/高橋 裕子 著 / 小学館
18世紀イギリス絵画を、ホガース、レノルズ、ゲインズバラの展開とともに豊富な図版で解説する入門書です。二人の肖像観の違いも時代の中で比べられます。
楽天ブックスで見る →