1785年
58歳

シドンズ夫人

画家 トマス・ゲインズバラ
Mrs Siddons / ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
名女優を舞台役から離し、衣装の色と本人の鋭い存在感で見せた。

何が描かれているか

名高い俳優サラ・シドンズが横向きに座り、顔だけをこちらへ向ける。青と黒の縞の絹のドレス、白い毛皮、大きな黒い帽子をまとい、片手を膝へ置く。
背景は深い赤のカーテンと暗い空間に絞られ、舞台装置や役柄を示す品はない。顔の横顔、帽子の羽、青い布、白い毛皮が明暗の中で順に浮かぶ。

作品の見どころ

青、黒、白、赤を大きな色の塊として並べ、絹、毛皮、羽根を異なる速さの筆で描く。服の細部はほどけているのに、尖った鼻と強い顎の横顔は明確で、本人の存在が揺らがない。
演技中の感情を描かず、都市で成功した一人の女性として座らせる。華やかな装いは職業上の名声を示すが、視線と姿勢は観客へ媚びず、落ち着いた自信を伝える。

制作背景

ナショナル・ギャラリーは1785年の作品とする。シドンズは悲劇役で高い評価を得た俳優で、レノルズも同時期に彼女を別の形式で描いた。
ゲインズバラは神話的な役や寓意を加えず、流行の服を着た本人を描いた。レノルズの《悲劇の女神としてのシドンズ夫人》と比べると、二人の肖像観の違いが分かる。

作品情報

材質・技法
油彩ゆさい、カンヴァス
所蔵
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
位置づけ
舞台役ではなく流行の装いの本人を描き、青、黒、赤、白を素早い筆触で響かせた。

出典・画像について

画像:Thomas Gainsboroughシドンズ夫人》/シドンズ夫人 — Thomas Gainsborough / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
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