木の下で一人の女性が腕を上げ、もう一人が隣に立つ。題名の「呼びかけ」が、静かな人物画に物語の気配を与える。
何が描かれているか
二人の女性が赤みのある地面に立ち、一人は木のそばで腕を高く伸ばしている。もう一人は桃色の衣服を着け、隣へ近づくような位置にいる。奥には背を向けて座る男性、緑の木々、道のように横へ続く明るい帯が見える。手前の花と木の幹が二人を囲み、人物の動きと風景の静けさが同じ画面に置かれる。
作品の見どころ
上へ伸びる腕と、縦に立つ木の幹を比べてみよう。二つの形が近いため、女性の仕草が画面の中で目立つ。赤い地面と緑の木々の対比も、人物を強く浮かび上がらせる。題名から声や会話を想像できるが、誰が何を呼んでいるかまで確定することはできない。隣の女性や奥の人物が、同じ仕草を繰り返していない点にも注目したい。
制作背景
1902年の油彩で、クリーブランド美術館所蔵。ゴーギャンがマルキーズ諸島で暮らした晩年の作品である。同館は運命や精神的な意味を読む解釈にも触れるが、解釈として区別したい。タヒチの作品と色や人物の配置を比べつつ、島での暮らしを忠実に記録した一場面とは限らないことを意識すると、晩年にも続く画家の構成への関心が見えてくる。
出典・画像について
画像:ポール・ゴーギャン《呼びかけ》/The Cleveland Museum of Art
所蔵館のCC0条件を確認した図版。全景を保ちWebPへ比例縮小。
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